フリークアウトのIRから学んだ決算書の読み方と株価推移

フリークアウトのIRから学んだ決算書の読み方と株価推移

前回は大塚家具とニトリを比較して、当座比率や在庫期間について調査を行いました。今回はフリークアウトの上場した2014年〜現在(2018年)のIRをみながら業績や財務の影響でどのように株価に影響するのかを勉強したので頭の整理を兼ねて残してみたいと思います。

前回のエントリ
大塚家具とニトリを利用した当座比率と棚卸資産の在庫期間【財務諸表分析の勉強】

フリークアウトの株価推移と業績推移

売上・営業利益・経常利益・当期利益の4つの推移をまずは確認してみましょう。

この4つの指標を調べるのに便利だったのが、バフェット・コードです。私の場合はTwitterで知ったのですが、業界や競合の情報など網羅されている上に売上や利益の指標が見やすいです。

フリークアウト株価推移

こちらの図はフリークアウトの株価推移になります。推移の期間としては、上場した2014年6月から2018年10月までの期間です。こちらの画像は「フリークアウト 株価」と検索した際に表示される検索結果です。

それでは、株価の推移からどんなイベントがあったのかを整理してみたいと思います。

上場してから半年後に株価が急落

2014年9月に突然株価が半分近くにまで下がっています。IPO銘柄の上場は半年ぐらいすると株価が7〜8割程度に落ち込むというトレンドがあります。

実際にフリークアウトが上場した半年後に「株式会社クラウドワークス」も上場しました。業界は近いIT系です。その株価を比較してみると、IPO直後の推移が類似していることがわかると思います。

クラウドワークスも上場した初値が1,316円から、600円近くまで落ち込んでいます。フリークアウトとクラウドワークスもIPO銘柄トレンドの影響で大きく株価が下がりました。

業績修正も株価に影響を与える

フリークアウトのIRを確認すると、2014年10月14日・2015年4月20日・2016年7月28日・2016年11月29日・2017年5月9日に業績修正が行われています。見立てていた売上・利益と違った結果修正予算を提出しています。

2014年10月27日:業績予想と実績との差異に関するお知らせ
2015年4月20日:通期業績予想の修正に関するお知らせ
2016年7月28日:営業外収益(持分法による投資利益)の計上及び通期業績予想の修正に関するお知らせ
2016年11月29日:通期業績予想の修正に関するお知らせ
2017年5月9日:業績予想の修正に関するお知らせ

業績予想の修正に関する基準は?

フリークアウトは業績予想を何度か修正しています。修正するのにも基準があり、業績予想が実際の着地とずれると修正予算を出さないといけません。以下に記載されている基準を超えたり下回ったりすると修正予算を再度提出しないといけません。

業績予想の修正基準

  • 売上高に対して10%以上の変動
  • 営業損益、経常損益、当期純損益に対して30%以上の変動

予想よりも上回る結果となる場合を上方修正(じょうほうしゅうせい)といいます。上方修正を行うと株価は上がる傾向があります。逆に予想の業績が当初立てていた計画よりも下回ることを下方修正(かほうしゅうせい)といいます。下方修正を行うと株価は下がる傾向です。

子会社と持分法株適用会社の違い

フリークアウトのIRを読む上で大事なのは、子会社と持分法株適用会社(以下、持分法会社)をしっかりと理解する必要があります。IRなどを読むと連結子会社とよく出現するワードです。

師匠に指南された内容を簡単に紹介したいと思います。

連結決算を読めないと話にならない

EY新日本有限責任監査法人が2012年に単体の決算資料を出している一覧を確認したら、上場企業数が2,303件あるのに対して、単体決算は553社しかありません。約4社に3社は連結の決算を出しているということになります。(参考:【一覧】個別財務諸表のみ作成している会社

M&Aが活発になってきているからこそ、連結決算をしっかりと理解する必要があり。逆をいうと連結が読めないと話にならないとのことです。単体の財務諸表は少ないので、連結決算を読めるようにしときましょう。

連結会社の持ち株比率が鍵

整理しなければならないのが、会社間の持ち株比率です。持ち株の比率によって、財務諸表のどこの項目にヒットするのかが変わってしまいます。単体だと赤字だけど、連結のおかげで当期利益がでたというケースは多くあるので注意して見る必要があり。

では、持ち株比率に関して簡単に紹介したいと思います。

子会社の持株比率

子会社の定義は以下の通り。

当社が他社の議決権の50%超を所有している場合
当社が他社の議決権の40%以上を所有している場合であって、一定の要件に該当する場合
当社及び特定の者が他社の議決権の50%超を所有している場合であって、一定の要件に該当する場合

感覚的に覚える場合は、子会社の定義は「親会社に何があっても逆らえない」という感覚で覚えればいいのかと個人的に思ってます。

関連会社の持株比率

関連会社の定義は以下の通り。

当社が他社の議決権の20%以上を所有している場合
当社が他社の議決権の15%以上を所有している場合であって、一定の要件に該当する場合
当社及び特定の者が他社の議決権の20%以上を所有している場合であって、一定の要件に該当する場合

子会社と違いイメージがし辛い部分がありますが、「20%以上持っていて子会社ではない企業」と私は簡単に覚えました。

子会社と持分法会社で財務諸表の項目も異なる

ここからが非常に重要なポイントとなります。子会社と持分法会社だと親会社が仮に上場企業の場合は、財務省表に与える項目が異なります。重要だからこそ、しっかりと把握しておきましょう!財務諸表で重要な指標は様々ありますが、大きく分けると3つ。「売上」・「営業利益」・「当期純利益」となります。

子会社・関連会社が及ぼす影響


A社、B社、C社の業績になります。親会社A社は子会社として、「B社の株式を70%保有」しており、「C社の株式を30%保有」しているとしましょう。先程紹介した通り、「B社は50%株式を以上持っているので子会社」「C社は30%持っているので関連会社」となります。

それでは次は、B社、C社がどのようにA社に影響を及ぼしているかを簡単に紹介したいと思います。

子会社B社がA社の業績影響する考えかた

子会社の場合は、売上・営業利益をそのまま親会社に合体することが可能なんです。自分の大きな学びとなった部分なのですが、「非支配株主に帰属する当期純利益」という項目があり、この項目は「B社のマイノリティ(少数)の株主に利益を分配しましょうね」という意味合いです。

そのため、B社の当期利益を少数の株主に分配した後の残りをA社とB社の連結決算に載ります。これが子会社連結の際の決算書の読み方になります。

関連会社C社がA社の業績影響する考えかた

次は、関連会社Cの考え方になります。関連会社Cは持分法適用となり、A社が30%しか株式を所有していないケースです。先程のB社とは違い複雑になります。子会社の場合は、「売上」・「営業利益」を親会社に合体することが可能でしたが、持分法適用会社(関連会社)の場合は親会社と合算して計算してはいけません。合算する考え方ではなく、C社の利益を親会社Aに分配するという考え方になります。

親会社の、「営業外利益」に記載されるのです。C社の当期利益に対して、A社が持っている株式の割合(30%)を営業外利益に吸収することができるのです。

フリークアウトの場合

簡単な概要を紹介したと思うので、実践編として次はフリークアウトの決算書を確認してみたいと思います。

フリークアウトの場合、IRにも記載されています。フリークアウトの平成30年9月期 第3四半期決算短信をみてみると、本業の営業利益はマイナスでした。しかし、営業外収益の「持分法による投資利益」により、経常利益がプラスになっています。

メイン事業は赤字で関連会社で黒字化しているということになります。その要因を調べてみると、売上は昨対で比較すると大きな変化はありませんが、販管費が2倍近くまで膨れ上がっています。その影響で本業が赤字になってしまっているのです。(のれん費用が5倍近くまで膨れ上がってますね…。)

疲れたので今回はここまで。
また次回も学んだことをしっかりと備忘録的に記載していきたいと思います。

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